9月24日の週報コラム「ひだり手」
「汚れた霊どもはイエスに、「豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ」と願った。イエスがお許しになったので、汚れた霊どもは出て、豚の中に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖になだれ込み、湖の中で次々とおぼれ死んだ」。(マルコ5:12~13)
★最近、作家の加賀乙彦氏の『悪魔のささやき』(集英社)という新書版の本を書店でたまたま見つけて、新書に似合わないその題名にひかれて買ってきて読み始めました。
★加賀氏は犯罪心理学を研究する精神科医でもあり、多くの死刑囚との対話も重ねてきました。凶悪そうに思える殺人犯が実は多くの人とさほど変わりなく、それが「まるで悪魔にささやかれたように」殺人を犯してしまったと言うのだそうです。そうしてそうした「悪魔のささやき」は、必ずしも一人の人間だけではなく、一度に大勢の人間に「パッと同時に働きかけることがある」とも言います。
★かつて日本全体が沸き返った戦争もまた、そうした「悪魔のささやき」により引き起こされたものと言えなくもない。そういう大衆心理に働きかける「悪魔のささやき」に弱いのが日本人の特徴とも書いています。
★最近、自民党の総裁選挙をわたしたちは目撃しました。各派閥が相乗りで一人の候補者を推し、圧倒的な票を獲得するのを目撃しました。それを見て悪魔が「豚に乗り移らせてくれ」と懇願し、湖の中へとなだれ込んで溺れ死ぬ上の聖書の場面を思い出しました。朝鮮への強硬姿勢や、憲法改正を第一目標として掲げていることで知られる議員です。豚の「トン走」は、まだまだこれから続き、その先に大きな災厄が待ち受けているようで、不気味な気がするのは、わたしだけでしょうか。(大久保)