12月30日の週報コラム「ひだり手」
年の終わりに——終わったことにしないで
★2018年最後の日曜日になりました。皆さんにとってどんな年だったでしょうか。2月・3月にはお隣の韓国で北朝鮮も参加して冬季オリンピック・パラリンピックが開催され、4月には南北会談で両国の首脳が38度線を越えて行き来し、朝鮮戦争の終戦を目指す「板門店宣言」が出されたことは歴史に残ることでした。しかし日本では、韓国政府が2015年の日本軍「慰安婦」に関する「日韓合意」について「被害者を排除して解決を図ったことは間違いだった」と表明したことや、戦時下の徴用工について韓国の裁判所が賠償命令を出したことから、韓国に敵対的な論調が目立っています。日本政府は「あの戦争」を「終わったこと」として忘れようとしますが、被害を受けた人たちにとっては戦争はまだ終わっていないことを思わなければなりません。平和は、戦争を忘れることで訪れるものではなく、銘記して二度とそのようなことが起こらないように、いまここで、力ではなく対話による理解を深めていくことによって作られるものです。7月にオウム真理教事件に関わった死刑囚の人たちが次々に処刑されました。これもまた力によって「終わったこと」にしようとしているように思えます。
★6月には大阪で地震があり、7月の豪雨では200人以上の方々が亡くなりました。9月の北海道での地震でも多くの人が亡くなりました。温暖化による気候変動は人間が招いている側面が強くあります。寺田寅彦という人が「災害は忘れたころにやってくる」と言いました。自然は「忘れないように」とわたしたちに警告しているように思えます。