12月2日の週報コラム「ひだり手」
積み上げる生き方ではなく(1)
〈イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」・・・・・・イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つあ。行って持っているものを売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。〉(マルコによる福音書10章17〜21節)
★「行って、持っている物を『売り払い』」と言われています。これを読むたびに、イエス様に従っていくためには、持っているものを全部売り払って無一文にならなければいけないのかと思い、わたしも牧師失格だと、到底イエス様に従っているなど言えないのだ、この人と同じように、肩を落としてイエス様の前から立ち去らねばならないのだと思ってきました。しかし元のギリシア語の文を読みますと、必ずしも「全部を売り払う」という意味ではないようにも読めるのです。そういうことよりもむしろ、持っている「余分なもの」を、貧しい人々に与えて、いわば「身軽」になって、そうして「わたしについてきなさい」と言う意味なのだと思います。
★イエス様のこの人に対する呼びかけの一番の主旨は「持っているものを全部売り払う」ことよりも、何よりもまず「わたしについてきなさい」ということなのです。そのことのために重荷になるようなものは、貧しい人に分けてしまって、ということ。(つづく)