7月5日の週報コラム「ひだり手」
★来年6月に「部落解放全国会議」という大きな会合を東京で催すことになりました。いまから準備のための話し合いを重ねています。先週は週の半分が関連する会議で埋まっていました。
★話し合いの中で、ある人がこんなことを語られました。ある人が差別的な発言をします。それで傷つく人がいます。しかし発言をした人が「自分は差別するつもりで、その発言をしたのではない」と言えば、それでその発言は差別ではないということにされてしまう。そういう風潮が広まっているそうです。傷ついた人の痛みの持って行き場はどこにもなくなってしまいます。
★被差別部落出身の人が最も多く集まっているのが東京であるとも言われます。しかし東京は部落差別に対する意識が低い場所でもあります。意識のないところで顔の見えないまま、人が人を傷つける発言をする場面だけが増えていきます。人が多く集まる大都市で、誰にも知られないという気安さの一方、困った時に誰も助けてくれないという冷たさが、わたしたちの人間性を奪っていると言ってもいいでしょう。
★その中で「人の世に熱あれ。人間に光あれ」(水平社宣言)という呼びかけから始まった部落解放の働きの積み重ねから、わたしたちが学ぶべきことは多くあると思います。差別の痛みを身をもって知り、人間に対する尊敬をもって差別を乗り越えて来た人たちの営みから、人間同士の温かな「つながり」について学ぶことができればと思います。