日本キリスト教団王子教会 ojichurch.exblog.jp

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12月8日の週報コラム「ひだり手」

「由らしむべし、知らしむべからず」(2)

★第二次大戦下の日本で、キリスト者に関わる一つの(ねつ造された)「スパイ事件」がありました。「レーン・宮沢事件」とよばれるものです。真珠湾攻撃の行われた1941年12月8日に、当時北海道帝国大学(現北海道大学)で英語講師を務めていたアメリカ人レーン夫妻と北大生だった宮沢弘幸さんが逮捕されます。嫌疑は「軍事機密保護法違反」。同じ日に16カ国以上に及ぶ国籍の外国人を含む111名の人が特別高等警察によって逮捕されたとの記録があるそうです(岸本羊一『スキャンダラスな人びと』より)。翌日の新聞には「外国人スパイ一斉検挙」の文字が躍ります。
★レーン夫妻、宮沢さんは秘密裁判で裁かれ、1942年4月夫ハロルド・レーンさん懲役15年、妻ポーリンさん懲役12年、宮沢弘幸さん懲役15年の刑を受けます。レーン夫妻はその後札幌拘置所、札幌刑務所に収監され、1943年9月に戦時下最後となる日米交換船によって米国本国に送還されます。宮沢さんは敗戦後の1945年10月10日に釈放されますが、刑務所での栄養失調と肺結核がもとで1947年に亡くなります。
★そもそも裁判が秘密であったため、この事件では宮沢さん、レーン夫妻がどんな嫌疑で逮捕・起訴されたのかさえ謎でした。戦後1980年代になって上田誠吉という弁護士が僅かな断片的な記録からこの事件の判決理由を推定したところによれば、宮沢さんが偶然眼にした根室の海軍飛行場についてレーン夫妻に話をし、レーン夫妻がそれを米国大使館駐在武官に伝えたというのが起訴理由だったようです。しかし根室の海軍飛行場の存在は、それ以前からすでに絵はがきになるほど周知の事実であり、レーン夫妻がそれを米国大使館に告げたというのは虚偽であったことが分かっています。
★レーン夫妻は熱心なクリスチャンで札幌のキリスト教会を支えてもいました。当時の官憲は、太平洋戦争開始という情勢の中で外国人(敵国である米国人)、キリスト者という日本社会の中で異質な存在を標的にし、「軍事機密」というブラックボックスを用いて彼らを見せしめにして、人心統制を図ったのかもしれません。
★政府は「違う」と強弁していますが、今度の「特定秘密保護法案」は、そのようなものとして用いることが十分可能な法律だと言えます。
by oji-church | 2013-12-11 16:36 | 牧師からのメッセ-ジ