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日本キリスト教団王子教会 ojichurch.exblog.jp

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by oji-church
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5月22日の週報コラム「ひだり手」

「弱さと柔らかな心」

★被災地である岩手・釜石を三度往還し、今度また釜石に向かいます。今度は1週間の滞在です。行くたびに、その前後に奇妙な感覚を味わうことに気がつきました。まず第一に、被災地での電気もガスもなく、それゆえテレビも点かず、ただ目の前のことに全身を、とりわけ頭よりも体を使って集中して取り組む生活と、東京に戻ってきて情報があふれており、自分自身も机の前に座っていろいろと振り返って整理して、情報を発信する生活との間の狭間に落ち込んでしばらくぼんやりしてしまうということがあります。
★釜石を発って東京に戻る時には、なんだか後ろ髪を引かれるような気分になります。今お話ししたようなテレビなどの情報が無い分、目の前にして出会う人との出会い、触れ合いが濃密なものとなります。教会の前に立てたテントの中に座っていても、前を通る人に「おはようございます」「こんにちは」と声を掛けます。時にテントに入ってきて話し込む人もあります。身近で人の亡くなった人も多くおられ、そんな痛切な話、その気持ちを、そこで初めて出会った人の口から語られ、じっと耳を傾けることもあります。そんな濃密な、暖かな人との触れ合いから立ち去っていくことの後ろめたさが、後ろ髪を引くのかもしれません。
★でも東京に戻ってきてしばらくしてからもう一度被災地へ行くということになると、今度は、あの多くの人が命を奪われ、残された人たちが深く深く傷つけられている場所へと赴くことへの恐れ、といいますか、重みが肩にのしかかって来るような気がして、気が重くなります。
★その中で、結局そんな自分自身の「弱さ」を抱えながら被災地へと赴くことが実は大切なのではないかと思い至りました。開かれた柔軟な心さえあれば、「弱さ」はいつでも人を支える手となりえます。「神様、柔らかな心を授けてください」という祈りを胸に、釜石へ行ってきます。
by oji-church | 2011-05-28 11:11 | 牧師からのメッセ-ジ